環境関連

DMEの特徴

(1) 蒸気圧が530kPa(プロパンは830kPa)と低いこと

  常温では約5気圧という低い圧力で液化するため、LPGと同様に液体で貯蔵・運搬・利用できます。この意味で自動車燃料として適した扱いやすさがあります。

  貯蔵容器がLPGボンベと同等であることは価格的にも有利となるほか、供給インフラもLPGのものがそのまま流用できると考えられています。

  (2) ディーゼルエンジンに最適

  DMEは、セタン価が55~60(軽油は50~55)と高く(=自着火温度が235℃(軽油は250℃)と低い)、自己着火性に優れており、圧縮点火機関(ディーゼルエンジン)の燃料に最適といえます。

  この点でLPGとの違いが最も大きく現れます。LPGはセタン価が低いので基本的にはディーゼルエンジンには適しておらず、事実ガソリンエンジンをベースとした研究開発が主流といえます。もっとも、LPGディーゼルの研究も行われていますが、その際は、セタン価向上剤を添加して着火性を確保する工夫が必要となります。

  発熱量が軽油の約60%程度しかないので、燃料タンクは軽油の約2倍の容積が必要となります。ただし、CNG自動車よりは一般に燃料搭載可能量を大きくすることができるので、走行距離を伸ばすことが可能と考えられています。現在ディーゼル自動車しかない大型トラックやバス等への活用が期待されています。

  (3) 沸点が-24.8℃と低いこと

  沸点が-24.8℃と低く、LPGによく似た性状のため、都市ガスおよびLPGの代替燃料として利用拡大、販路拡大の動きがあります。

  燃料の燃焼室内直接噴射方式における着火遅れ期間の短縮をもたらし、4サイクル機関のみならず2サイクル機関への適用可能性を秘めています。もっとも、噴射システム内でDMEが気化しないように燃料供給系統の適切な温度制御の必要があります。

  (4) 無煙燃焼すること

  含酸素燃料のため、粒子状物質(PM)をほとんど排出しません。現在のディーゼル機関の問題であるPMと窒素酸化物(NOx)のトレードオフの関係をNOxのみにすることができます。またDMEの場合、噴射圧力が低い場合でも、NOx濃度は噴射圧力の高い軽油の場合に比べて約半分です。

  ディーゼルタイプDMEエンジンは、黒煙を出さない、NOxの少ない、そしてCO2のより低い次世代低公害自動車となることが期待されています。

  (5) 粘度が低いこと、潤滑性がないこと

  軽油に比べて粘性が低いため、潤滑性、シール性を確保するために対策が必要となります。またDMEはエーテルのためゴム製品を溶かししまうことから、シール材の選択には注意が必要となります。