環境関連

圧縮天然ガス自動車(CNG自動車)の種類

圧縮天然ガス自動車(CNG自動車)は、その燃焼方式で分類すると、次のようになります。

  1 供給する燃料種からの分類

  (1) 天然ガス専用車(専焼方式)

  圧縮天然ガス(CNG)のみを燃料とするタイプです。専焼方式には、ガソリン車をベースとするものとディーゼル車をベースとするものがあります。

  トラック等の商用車を中心に、ディーゼル車代替として天然ガス自動車が普及するためには、熱効率の改善は重要な課題です。そのため、火花点火直接噴射専焼方式、グロープラグ直接噴射専焼方式、直接噴射デュアルフューエル方式などのディーゼルサイクルの燃焼方式による熱効率の向上が試みられています。ディーゼルエンジン相当の熱効率の可能性をもつが、筒内噴射には高圧の天然ガスを使うので持続的な燃料供給のために加圧装置が必要となります。加圧による駆動損失を低減するためLNGを加圧して周囲熱による気化で高圧ガスを得る方法等も研究されています。

  (2) バイフューエル車

  圧縮天然ガス(CNG)と他の燃料どちらでも走行可能なタイプです。このタイプはCNGと他の燃料(ガソリン)を切り替えて使います。

  (3) デュアルフューエル車

  圧縮天然ガス(CNG)と他の燃料(軽油)を混合するタイプです。点火に軽油を使用することを主目的としています。

  (4) ハイブリッド車

  天然ガス(CNG)エンジンに電気モーターなどを組み合わせるタイプです。

  2 燃焼室への燃料供給形態からの分類

  燃焼室への燃料供給の観点からは、吸気管に導入する予混合方式と燃焼室内に直接ガス噴射する直接噴射方式があります。天然ガスはオクタン価が高いため自着火は困難なので、点火装置が必要であり、火花点火方式、グロープラグ点火方式およびデュアルフューエル方式があります。

  3 CNG車のスタンダード

  これらの組み合わせの中で、火花点火予混合専焼方式が最も開発が進んでおり、ライトデューティを中心に乗用車やトラック用のエンジンが既に実用化されています。

  ガス燃料の吸気管への供給による充填効率の低下と絞り損失のために、ガソリンエンジンに比較して出力性能は10~20%低下します。出力低下対策として、高圧縮比化、過給、吸気動弁系の改善などが行われています。熱効率においてもガソリンエンジンと同じ燃焼方法のためガソリンエンジンの熱効率と同程度であり、ディーゼルエンジンの熱効率には及びません。小型トラックの場合にCNG車とディーゼル車とでは、ディーゼル車の方がエネルギー消費率が約35%低くなります。