環境関連

軽油硫黄分の低減プロセス

超深度脱硫においては、・難脱硫性化合物を処理できる触媒の開発、・通油量低下による脱硫装置の大型化、・水素消費量の増大によるランニングコストの増加などの課題があります。

  すでに500ppm以下に脱硫した軽油の硫黄化合物は、4、6-ジメチルジベンゾチオフェンなどの難脱硫化合物が主体です。この化合物は4位と6位のアルキル基によって硫黄原子が触媒上の活性点に配位することを妨害します。この立体障害のため4、6-ジメチルジベンゾチオフェン類の脱硫反応性は、他の硫黄化合物に比較して著しく小さくなります。

  例えば、現行の脱硫装置、深脱触媒を使用する場合には、50ppm以下に脱硫しようとすると反応上限温度を超えてしまいます。高水素分圧や低LHSVの条件を行う場合でも触媒寿命は極めて短くなります。

  硫黄分を50ppm以下に低下させるための方法は、精油所によって異なっていますが、一般的には以下の方法があり、これらが組み合わされて実施されています。

  (1) 脱硫触媒の活性向上:触媒担体の高表面積化、担持金属の高分散化により脱硫活性向上を図る。また異性化能や芳香族環水素化能力をもつ新規高性能脱硫触媒を開発して使用する。

  (2) 水素分圧の上昇:リアクタの増強、水素製造設備の増設が必要となる場合がある。

  (3) LHSVの低減:通油量が低減するため、装置の増設が必要となる。

  (4) 原料油の軽質化:原料油中の難脱硫性化合物は高沸点留分に多く含有されるため、原料油を軽質化させることにより脱硫負荷を軽減する。製品品質のバランスを適切にとる必要がある。