環境関連

PM排出と燃料特性の関係

では、燃料特性はPM排出にどのようにかかわっているのでしょうか。  

物理的特性である密度、粘度、蒸発特性などは主に噴霧・混合気形成の段階に影響し、その混合気生成の違いが着火、燃焼、ひいてはPM排出に影響します。  

組成(芳香族量など)の化学的特性は着火や燃焼の化学的反応面から影響します。硫黄分については触媒などの後処理においてサルフェート生成によるPM増加や排ガス浄化性能の低下といった形で影響します。  

PM排出に影響する軽油品質項目を考える場合、硫黄分、密度、90%留出温度(T90)、セタン価(セタン指数)および芳香族量(多環芳香族量)などの品質項目が取り上げられます。T90は蒸発特性の指標として、セタン価は着火性能の指標として、芳香族量は組成の違いによる化学的な燃焼特性の指標として考えることができます。  

芳香族分は環構造を持つことや炭素含有割合が高いこともあり、一般的にスス生成の傾向も大きくなります。しかし燃料の高圧噴射化などのエンジン側の改良により混合気生成が改善され、予混合化が進むと組成の違いによるスス生成傾向などの化学的特性の影響度も変化し、PM排出への影響も変化する可能性があります。このためエンジンの違いによりPM生成の影響度は異なることが考えられます。またそれとは別に将来的に排ガス低減技術が後処理技術に重きが置かれるようになると、燃料特性の中で硫黄分の影響が相対的に大きくなることも予想されます。このように燃料特性のPM排出への影響を考える場合は対象となるディーゼル車の排ガス低減技術に応じた検討が必要となります。